この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第53巻収録。筒井藩のお家騒動が勃発。筒井藩の後継ぎ・亀次郎を乗せた籠が襲われ、偶然、通りかかった平蔵が助太刀にはいり事件に関わることになる。籠に付き添っていた僧侶・隆浄和尚は、襲ってきた賊の顔をみて、十年ほど前に面倒をみていた修行僧・山崎小五郎ではないかと疑う。
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殺し屋稼業
裏の世界には様々な仕事あり。金で殺しを請け負う裏稼業、殺しを生業とする者を仕掛人と呼ぶ。本作中では殺し屋の事を仕掛人と称する事は無いのだが、どうしても脳内で変換されてしまうほどに印象深い単語だな。
厳しい掟の中で殺しを請け負う殺し屋たち、殺しを失敗すれば自らの命を失う覚悟が必要な仕事だ。緊張感漂う闇の殺し屋を描いた作品となっている。鬼平犯科帳に闇の仕掛人が登場するとは、それだけで興奮を隠せないぞ。
仕掛けて仕損じなし
池波正太郎の小説が原作となっている作品は非常に多くあり、どれも絶大なる人気を誇っている。コミックとして出版されている代表作にも『鬼平犯科帳』『仕掛人 藤枝梅安』『剣客商売』などがあり、どれも物凄く人気があるぞ。
TVドラマで人気の高い必殺シリーズも、池波正太郎の世界を余すところなく表現している名作揃い。余談だが、必殺シリーズで度々登場する俳優の火野正平、彼の芸名は池波正太郎が与えたそうだ。
本作は鬼平犯科帳ファンにはあまり馴染みの無い闇の住人を描いた作品なのだが、殺し屋が単純に金を稼いでいる訳ではない事を垣間見る事が出来る作品だろう。必殺シリーズのファンや、他作品のファンにも間違いなくお勧め出来るエピソードとなっているぞ。
殺しの元締め
依頼人から殺しの依頼を受け仕掛人に殺しの仕事を頼む者を、この世界では蔓(つる)と呼ぶのだ。多くは香具師の元締めとして描かれる。本作に登場する羽沢の嘉兵衛と芝の治助も香具師の元締めで、その名前は『仕掛人 藤枝梅安』や『剣客商売』といった他作品にも登場するぞ。それらの作品が好きな方にとっては、名前を見ただけでストーリーを思い出す方もいるだろう。
殺し屋の厳しい掟を守るため、小五郎が考えて実行した策とは。そして小五郎を容赦なく襲う闇の掟。鬼平犯科帳にてこれほどまでに濃く、殺し屋稼業を描いた作品は本作が筆頭となるのではないかな。闇の世界を知る入口にも良いだろう。是非お勧めをしたいエピソードの一つだ。
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滝田 莞爾
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