この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第203巻収録。債務が残る航空機を差し押さえる専門業者、レポ・マンの活躍を軸にゴルゴ13シリーズならではの航空機アクションが楽しめる作品。愛弟子を闇貿易商に殺された伝説的レポ・マンから、弔い合戦の協力を請われたゴルゴは……。初期作品を彷彿させるアクション巨編。
スポンサーリンク
世界は知らない職業に満ちている
REPOSSESSION 直訳すれば原状復帰、という感じだろうが、その言葉とは裏腹にレポ・マンはかなり危険な業務であり、日本ではおよそ考えられない特殊な職業に驚かされる。奪還チームの紅一点・エミリーがキュートな雰囲気ながら凛々しく、いい感じである。
客室乗務員を除き、航空業界はまだ男性本位の職業だが、今後、この業界にも女性の進出を期待させる。ゴルゴは、機体に傷をつけずに狙撃する、という条件をどうクリアするのか。ハイセンスなタイトルデザインや随所に感じる飛行機野郎の熱い心意気など、粋な雰囲気の漂う作品である。
「民事はやった者勝ち」を許すな
住宅ローンを滞納すると担保の土地建物を差し押さえられるが、車や航空機は逃げられるので担保としてはやっかいである。民事事件は刑事事件のように国家権力を使うわけにもいかない。だから民事は「払わない者勝ち」という傾向もみられる。
かつてナントカちゃんねるという誹謗中傷サイトの運営者が、企業から億単位の損害賠償請求をされたが、裁判には一度も出廷せず、そのまま賠償命令が出されたにもかかわらず完全無視し、賠償金も払わなかった。その人物が事業家として、公然とメディアにもてはやされているのだからあきれた話である。
息詰まるスリリングな空中戦
航空機の奪還シーンもさることながら、飛行機での空中戦のシーンがスリリングである。ゴルゴに「ベネットのいうとおり見事な腕だ」と持ち上げられたケビンだが、喜んだのもつかの間、無茶ぶりに応えなければならなくなる。
ベネットは「もう約束の64時間を過ぎちまいそうだな」と心配しているが、おそらくゴルゴは6~12時間のゆとりをみている。次のミッションが控えているからこその条件だったのだろうが『アム・シャラーの砲身』のように現場での想定外の事態は日常茶飯事であり、そこも計算に入れているのが超一流のプロである。
この作品が読める書籍はこちら
野原 圭
最新記事 by 野原 圭 (全て見る)
- ゴルゴ13:増刊第100話『獣の爪を折れ』のみどころ - 2024年8月18日
- ゴルゴ13:第485話『欲望の輪廻転生』のみどころ - 2024年7月30日
- ゴルゴ13:第520話『未病』のみどころ - 2024年7月29日