この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第24巻収録。ベルギー諜報機関の長官・ナッソーから、東側に拉致された前長官・エルメルの暗殺を依頼されたゴルゴ。エルメルが監禁されている建物と、全く同じジオラマを使い作戦を練ったゴルゴは、準備万端で現地に潜入する。しかし実際に潜入してみると、エルメルは全く別の場所に監禁されており……。
スポンサーリンク
用意周到ぶりが逆に怪しい依頼人
今回の依頼人のナッソーは、わざわざ潜入先の建物と同じ構造のジオラマまで準備してゴルゴを案内するという用意周到ぶりを見せるが、実は最初からゲームの駒にするつもりでゴルゴを雇っていたことが発覚する。
ゴルゴとしては、その過剰な準備を見た時点で彼の怪しさに勘付いていたのかもしれない。ところで、敵地潜入の事前シミュレーションといえば、後の53巻収録『崩壊 第四帝国 狼の巣』が思い出される。あちらでは映画撮影と称して大掛かりなセットを設営し、訓練に励んでいたゴルゴだが、実は本話での経験が発想のヒントになったのかも?
依頼者が敵の多い人物でも気にしないが……
本話冒頭、ゴルゴとの接触中に第三者の襲撃を受けたナッソーに対し、ゴルゴは「おれにとって……依頼人がどんなタイプの人間か、ということは関係のないことだ……」と述べている。ナッソーが敵の多い人物であることが分かるシーンであると同時に、依頼に関するゴルゴのスタンスが垣間見える一幕でもある。
続く「仕事の上で、おれの“約束事”を守ってくれれば、それでいい……」という発言に象徴されるように、ゴルゴにとっては依頼者のパーソナリティよりも、仕事を受けるに足る相手かどうかが全て。この言葉は本話のラストの伏線にもなっている。
爆殺は情報を漏らした依頼人への皮肉?
本話のミッションで兵士を脅すのに用いられている万年筆型爆弾。ハッタリ用の小道具ではなかったようで、ラストでは「約束事」を破ったナッソーの胸元にこれを差し、爆殺するという展開になる。普通に射殺してもよかったはずだが、ゴルゴが用済みになった爆弾を処理したのだと考えると少し面白い。
かと思いきや、「ゴルゴ・ナビ」では、この爆弾を「情報漏れがあった場合のための装備」と記述している。作中で説明はなかったが、これがナッソー側の用意した装備だったのだとしたら、それで裏切り者の彼を始末するというのは確かに皮肉が利いている。
この作品が読める書籍はこちら
東郷 嘉博
最新記事 by 東郷 嘉博 (全て見る)
- ゴルゴ13:第536話『神の鉄槌』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第552話『受難の帰日』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第535話『森と湖の国の銃』のみどころ - 2024年9月19日