この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第21巻収録。深川の桶屋、富蔵とおろく夫婦の息子・幸太郎が、謎の女に誘拐された。幸太郎は里子だったため、実母が疑われたが、捜査の結果はシロ。富蔵夫婦は裕福ではない。真犯人の動機と目的は……?前話に登場した雨隠れの鶴吉が、再登場し大活躍するため、前話の続編ともいえる。
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幼子の誘拐事件発生
懇意にしている御用聞きの女房おろくを訪ねる鬼平が、風呂桶を所望する場面から始まるストーリーだな。この夫婦には子が無く、幸太郎という男児を養子に迎えて育てているぞ。
ところが幸太郎が何者かに連れ去られてしまう。その場に居合わせた鬼平も、もちろん協力する事となるぞ。どうやら実の親が、手放した子を引き取りたい旨を語っていたらしく、その筋の話として捜査は進むのだが……。
実の親を訪ねてみても既に夜逃げの後で、幸太郎の姿すら見えないのだ。脅迫文も投げ込まれ、何やら不穏な雰囲気ながらも全貌が見えない難解な事件へと発展する。
桶屋のおろく
木場が舞台の本作。木材を扱う町だからこそ、桶屋も成り立っていたのだな。今でこそ東京メトロの木場駅で下車をしても水辺が見える事も無いのだが、江戸時代には海沿いだった町だ。
職人たちが多く住み、税として納められた木材を保管する場所でもあった。それらの木材を水辺に浮かべたのだが、職人たちが浮かべた木材の上を身軽に移動する技を見た方もいるだろうか。
その技術を“角乗(かくのり)”と言って、現在では実用というよりは伝統技術として伝えられているものだ。木場では保存会が角乗を伝えているので、実際にその技術を見る機会もあるだろう。
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産みの親より育ての親
場面は変わって街道筋。『雨隠れの鶴吉』にて盗賊稼業から足を洗って、稼業を継ごうと改心した鶴吉と井関録之助の姿があった。火盗改メが幸太郎を探しているとはつゆ知らず、録之助と鶴吉は幸太郎への足掛かりを手に。
しかし、たらし込み女賊お安の顔を見た刹那、すぐさま盗賊である事を識別した鶴吉だ。すでに密偵としての才覚が顔をのぞかせているな。さて、鶴吉の行く末を見守りに万屋を訪れた鬼平ではあったが、照れ隠しもほどほどに。
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滝田 莞爾

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