この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第23巻収録。両親の墓参りを済ませた忠吾は、叔父の茂兵衛から同心の源八を見かけたと聞く。しかし源八は半年前、盗賊・天神谷一味を追跡中に行方不明になっているはずだった。源八はなぜ、職務中に失踪したのか?源八が追っていた菅笠の男たちとは……?
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久保田源八の足取り
行方不明となっていた同心、久保田源八が発見される。しかし以前の記憶が全くないようで、自らが同心であった事すら覚えていないようだ。鬼平の顔のみならず、妻の顔すら思い出せない辛い状況だ。記憶を失うという事は大きな悲しみが伴うのだろう。
鬼平の決断により、源八の記憶をたどるべく藤沢へと出張るのだ。随行する者は、源八、忠吾、小柳、粂八の4人。過去に捜査の途中で行方知れずとなった源八。果たして記憶を取り戻す事が出来るのか、そして捜査の成果は上がるのだろうか。
藤沢での盗賊捜査
源八の記憶をたどる事で徐々に明らかになっていく源八の捜査状況が面白いぞ。記憶喪失ストーリーを鬼平犯科帳ワールドで表現すると、このように調理されるのだな。
一行が盗賊に気取られないよう、変装に変装を重ねて姿を見せないという心理戦も見ものだ。鬼平の修験者変装など、あまり他作品では見られないだろう。各々の尽力によって、源八の捜査は盗賊捕縛へと結びついた。
記憶が失われようとも、火盗改メ同心としての矜持を心の中に秘めていたぞ。恐怖に慄きながらも盗賊に立ち向かう姿、これほど格好良いものはないだろう。残念ながら源八の記憶が戻る事は無かったのだが。
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再び最初から記憶を重ねて
記憶を無くし、取り戻す事も叶わなかった源八。その悲しみやさぞ深い物だろう。妻を失った源八の再婚相手は29歳で老嬢。適齢期を過ぎた未婚女性の事を老嬢と呼ぶぞ。
妻が初婚は理解できるが、源八も初婚とは、はて? あぁ、源八には心の強さがあったのだ。これから得る物は全て初めての経験だからな。過去を悲観する事も、過去を全て失った源八には無用だった訳だ。つまり記憶の中では、お互い初婚同士という事でめでたしめでたし。
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滝田 莞爾
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