この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第25巻収録。平蔵は二十年前に謎の失踪をした、高杉道場時代の弟弟子・又四郎を発見する。又四郎のただならぬ様子から尾行を開始する平蔵だったが……。平蔵と又四郎の過去には何があったのか?若かりし平蔵が企図した”ある計画”とは……?異母妹・お園に関する秘密がついに発覚か?
高杉道場の同門を描いた回顧録
若かりし平蔵の回顧ストーリーだ。鬼平が若い時分に修行をした高杉道場の同門、池田又四郎との再会を描いた作品となっている。同門のストーリーは数多くあるのだが、本作が他の作品と大きく異なる点は、単なる思い出話に留まらない部分だろう。
平蔵の父と母の馴れ初めから、銕三郎として生を受けた後どのような環境で成長をして長谷川家の跡取りとなったのか。この作品を読めば鬼平の生まれ育った複雑な環境も全て理解できるはずだ。鬼平犯科帳を楽しむためにも、鬼平の出生や成長を知る事を是非ともお勧めしたい。
兎は食べても平気?
冒頭にて鬼平は座敷で横になりつつも、うとうとする前には名物の兎鍋を味わっていたのだろう。江戸時代には“生類憐みの令”があって、獣を殺したり、獣を食べる事が規制されていたぞ。はて、鬼平の生きた時代は江戸時代だし、兎は獣に含まれないのだろうか。
兎が獣である事は誰が見ても当然だ。しかし鬼平は兎鍋を食べている、何故だろうか……。所説あるのだが、兎を数える単位は1羽、2羽……と数える。つまり兎は鳥だから食べても良し!と。まさに江戸時代、かなり無理のある言い訳も突き通していた朗らかな時代だな。
長谷川平蔵の妹、お園
平蔵に腹違いの妹がいると告げられ、その妹を迎えに行くストーリーは「隠し子」で読む事が出来るぞ。その後、役宅にて長らく勤めているお園だが、平蔵の妹である事を本人は知らない。しかし池田又四郎の一件から、奇しくも養父との再会を果たす事に。
長谷川家の血筋である事を隠そうと慌てる鬼平、そうとは知らずに感動したまま出生の秘密を一方的に喋り続ける養父。まさに青天の霹靂というに相応しいお園の驚き方。この掛け合いシーンは、鬼平犯科帳の中でも屈指の名シーンだと思うぞ。それからのお園と平蔵のエピソードは『隠居金七百両』で読めるので、こちらもおすすめだ。
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滝田 莞爾

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