この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第161巻収録。ブラジルで消息不明となった、宝石バイヤーの夫を探しにやって来た逸見忍。悪徳タクシー運転手に暴行されかかったところを、ゴルゴに救ってもらった忍は、夫探しの協力を要請する。調査を進める二人は、地元で採掘される希少な宝石を巡って対立する鉱山主とバイヤーの存在に行き着くが……。
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石の魔力に魅せられた人々
多くの人を魅了して止まない「宝石」に潜むのは魔物ではなく魔女ではないだろうか。なぜなら、それを着ける女より、その魔力に取り憑かれ、命まで賭けているのは男のほうだからだ。
『ピジョンブラッド』のルビーの虜になったベッカー同様、パライバトルマリンの青に捕らわれた駿二は、想像を絶する計画を立て、トルマリン取引の大物・ダジルバに近づいている。ブラジル格闘技・カポエラの達人コスタに痛めつけられるゴルゴはどうなるのか。不気味に笑うシュミットがケースに封じ込めた「死神」の正体は何か。最後まで息詰まる展開が続く。
日本人には想像できない南米ルール
忍を乗せたタクシー運転手の意味深な表情が気になったが、やはり、という感じである。危機を救ったゴルゴが「ここは日本じゃない。用心することだ」と言っているが、外務省はそんな安全慣れした日本人向けに『ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル』を作成している。
南米のある国に滞在した人が、日本に帰国後、友人にこんな質問をした。「その国で深夜・早朝、人けのない場所で見知らぬ人から車を止めるよう指示されたらどうするか」けげんな顔の友人に対し「正解は車を止めず場合によってはひき殺す」と答えたそうだ
石よりも固く強い愛
狡猾きわまりないシュミットの策略に対し「窮鼠猫をかむ」の諺そのままの忍には目を見張った。女はいざとなれば男より大胆になれるのかもしれない。ゴルゴにすがっていた前半の不安げな頼りない女性とは別人のような行動には、ゴルゴもさぞ驚いたことと思う。
駿二が忍のために贈った「愛の笛」が、間一髪のところで自分の危機を救うことになるとは思いもしなかったことだろう。愛の笛は駿二を石の魔力から解き放ち、石より大切なものは何かを再確認させてくれた。彼は生涯忍に頭が上がらず、尻に敷かれ続けることだろう。末永くお幸せに。
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野原 圭
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