この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第136巻収録。中国ミサイル基地の天才プログラマー・漕。漕は彼の才能を妬んだ共産党の幹部に、ちょっとしたミスを利用されてしまう。それは漕の僅かなプログラムミスを、台湾へのミサイル発射命令に書き換えるものだった。その事実を知った漕は、情報を台湾側にリーク。台湾側はゴルゴを雇い、漕との連携でミサイル阻止を依頼する。
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オタクの逆襲
2000年問題が大きく取り沙汰された程度には、20数年前でもコンピューターは私たちの生活に欠かせないものだった。反面、コンピューターに強いが人間関係に難があるタイプ、つまりオタクは他者から蔑まれる場面が多かった。
このエピソードではそのオタクのステレオタイプのようなキャラクターが陥れられながらも危機を乗り越えるうえ、密かに想っていた美女と結ばれるというシナリオになっている。読者によってはカタルシスを覚えた人もいるのではないだろうか。
どうしても、気になる
ただ、ただ、どうしてもこのエピソードで引っかかるのがオタクと美女のベッドシーンのセリフ回しだ。「すべて書き換えてやるっ!すべて僕のプログラムにっ!」「電脳の話より二人で暴走したい!」
ゴルゴ13のベッドシーンでの女性たちの言葉はファンの間で話題になることも度々あるが、普段相手となるゴルゴはひたすら寡黙だ。男性側が同じトーンでセリフを言うとコミカルにすら感じてしまう。
愛は人を成長させる
オタクである漕は最期自分を陥れた人間たちに一矢報いながら、はっきりとは描かれていないまでも命を落とす。しかし一矢報いようとするその瞬間の表情はエピソードの当初とは打って変わって、自信に満ちた強い男の表情になっている。
漕はもともと天才的なプログラマーだったが、女性からの愛を得、自信をつけて己の能力を存分に発揮できるようになった。ゴルゴほどの超人は孤高の中でも生きていられるが、普通の人間は愛あってこそ強くなれるのかもしれない。
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大科 友美
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