この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第166巻収録。日本のリニア事業の視察に、米次官候補のミルが来日した。その裏には日本政府に圧力をかけ、強引の事業参入・支配しようとする外国企業の思惑が隠されていた。門外漢の市場参入を快く思わない加山建設の加山は、今回の視察を利用して警告を与えようとするが……。
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ゴルゴの動きを探るジャーナリスト、深沢
ジャーナリスト深沢。彼は『大地動く時』に続き二度目の登場だ。リニアモーターの試乗に訪れた彼が、その場所でゴルゴを見かけ、何かあるのではと調べ始める。大学の先輩にゴルゴのスナイプがいかに困難か数学的に説明されるところは、非常にリアルだ。
しかしゴルゴは、そのさらに上をいくスナイプを行うところに二重に驚く。深沢がゴルゴのターゲットを熱心に調べているシーンがある。合間でカップ麺にお湯を入れるが、気になった事を調べるうちに朝になり、カップ麺もダメにしてしまう。勤勉な日本人を象徴するシーンで、親近感が湧いてしまう。
千分の一秒をコントロール
タイトルの『至近狙撃』。読み初めはこの意味がわからなかった。至近距離からのスナイプなのかと思わせて実は、ミル次官補の頬をかすめ、ターゲートであるファッジ参事官を狙うものだった。時速500キロで走るリニアの乗客をスナイプするのには許容誤差は数十センチ。時間にして千分の一秒。
しかし、今回のスナイプは時速50キロ。速度が十分の一であればゴルゴなら楽勝だろうと思うが、影になっているターゲットを狙うには、許容誤差数センチ。やはり千分の一秒をコントロールいなければいけなかった。あらためてゴルゴの凄さを痛感するスナイプである。
ルールを破らなかった依頼
今回の依頼者は加山建設の会長、加山だ。依頼理由はリニアモーターに関わる、新規公共事業をアメリカ政府から守るためとしていた。しかし本当の依頼理由は……。話の最後にわかるのだが、ゴルゴは全てお見通しだった。彼のルールでは依頼内容に嘘のないことが条件だが、今回はそれに当てはまらなかったようだ。
それにしても、故・角丸伸介の遺言で加山がリニアの建設調整を任されたこと把握しているとは。ゴルゴにとっては本当の依頼理由を知ることは、容易だったのだろう。もし彼の情報網を手に入れることができれば、世界を制することもできるのでは、と思ってしまう。
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秋山 輝
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