この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第28巻に収録。平蔵とは旧知の仲である無外流の達人・かわうそ先生が、仇討ちの助っ人で江戸に出てきた。親の仇・三浦伝八郎を討つべく覚悟を決める原田兄弟に、かわうそ先生が授けた心得が秀逸。平蔵&左馬も助っ人に加わり、胸がスカッとする仇討ちエピソードに仕上がっている。
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剣の道より女の道
平蔵が京都に在していた頃の剣客、辻十内が登場するストーリーだ。無外流の剣客として一流の剣士であった辻十内だが、平蔵が学んだのは剣術ではなく女遊びだったようで。若い頃に共に遊び歩いた懐かしい記憶も相まってか、平蔵と左馬之助の剣術コンビは窮地に立たされた辻十内を助ける事となる。
その憎めない表情からも、本当に剣術の達人なのか疑問に思ってしまう。仇討ちの助太刀として江戸を訪れた辻十内。かわうそ先生とも揶揄されるその顔立ちに隠された剣術の腕前やいかに。一刀流の達人と、無外流の達人がここに集う。
無外流、秋山小兵衛
辻十内が無外流の達人である事で、街中を歩く平蔵と左馬之助はふととある人物の事を思い出す。同じ無外流の達人で、江戸に道場を構えていた秋山小兵衛だ。鬼平犯科帳シリーズにもたびたび名前の挙がる秋山小兵衛なる人物。平蔵が若い頃に、田沼屋敷での剣術大会の審判を勤めたという描写も別作品にはある。
実は秋山小兵衛、鬼平犯科帳の原作者である池波正太郎が執筆した別作品の主役なのだ。その作品は『剣客商売』という。剣客商売も非常に人気の高い作品で、ドラマやマンガとしても数多く残っているぞ。劇中の年代としては、鬼平の活躍よりも30年ほど前になるだろうか。
無外流の奥義、炸裂
辻十内の見事なまでの剣技、剣術の腕が冴えわたる。腕自慢の道場主などなんのその、腕に覚えのある剣客ですら全く歯が立たないほどの達人だった。鬼平犯科帳には剣術の達人がしばしば登場するのだが、彼らは実際に刀で相手を斬る必要すら感じさせない。
斬り捨てるまでもなくひとたび構えたならば、その気迫に圧倒されて相手は戦う事すら出来なくなるのだ。確かに『霧の七郎』に登場した念流の達人、上杉周太郎にも同じような描写がされていたはずだ。これこそが剣術の本当の奥義なのかもしれないな。アクション好きな方にはぜひお勧めな作品だぞ。
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滝田 莞爾
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