この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第135巻収録。大統領補佐官のボイスコフは、国家予算を使って娯楽性と高度な政治性を併せ持ったプロパガンダ目的の映画を製作していた。この陰謀を知ったCIA局員のアニーは、告発しようとするもボイスコフに殺されてしまう。アニーから証拠となる記録を受け取っていた同僚のホリックは、アニーの仇討ちのためゴルゴに接触する……。
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映画って本当に恐ろしいですね
かつて民放の映画番組で、映画評論家の「映画って本当に良いですね」という決め台詞があったが、いつの間にか、映画は人々の心を操る恐ろしい怪物になってしまったらしい。『ボリバル二世暗殺計画』と並び映画をプロパガンダとして利用しようとする、おぞましい内幕を描く本作では、ハリウッド映画産業と政権の癒着を暴く。
穏健とは真逆のポリシーを押し進めるため、穏健派という仮面をかぶった人物が押し進める陰謀にゴルゴはどう立ち向かうのか。俳優という職業も、時には情けなくなるのではないかと思わせるシーンに同情のため息がでる。
「目は口ほどにものを言い」瞳が語る真実
今回のテーマは「瞳」であり、ポイントは2つある。ひとつは「虹彩」。眼の中にあるこの部分は、指紋同様一人一人オリジナルである。今でこそ、その特徴を生かして「虹彩認証」という生体認証ののひとつとして、セキュリティ対策に使われているが、武器として利用することも十分考えられる。
今一つは眼の中の「レンズ」。目を開けている限り、眼の中のレンズには何かが必ず映っている。昔の映画雑誌やポスターの写真となっているスターたちの瞳の中を、現在の技術で詳細に解析したら、どんな人物が映っているのか想像するだけで面白い。
バーグマンの瞳には何が映っていたのか
「君の瞳に乾杯」というハンフリー・ボガートの台詞で知られる『カサブランカ』も、第2次世界大戦中ナチス政権下のフランスへの応援メッセージであるとともに、アメリカ参戦のためのプロパガンダだった、というのは周知の事実である。
そのためか、脚本がなかなか決まらず、イングリッド・バーグマンが「いったい私はどっちの男を好きなんだ!」と撮影中にキレたが、答えは「適当にやっててくれ」だったそうで、名作も案外いい加減である。ボギーがのぞき込んだバーグマンの瞳に映っていたのは、まさかゴルゴ、ということはないと思うが。
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野原 圭
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