この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第50巻収録。久々に同心・細川が主役のエピソード。細川は岡場所で馴染みの女から「盗賊らしき客がきた」との情報を得た。平蔵から捜査の差配をまかされたため、張り切る細川。しかし、盗賊団がいち早く細川の捜査に気がついたため人質をとられてしまう。そのなかには細川の妻・お幸の姿も……?
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細川同心の真面目な一面
元は勘定方同心の捕り方で、どことなく頼りない同心の細川峯太郎が本作の主役となっているぞ。普段は忠吾と細川のおとぼけコンビとして描写される事が多いのだが、本作では細川のみの登場だ。細川好きの方としては必ず押さえておきたい作品だろう。
方々の女性にも目が無く、女遊びや博打での失敗エピソードが多くある細川だが、お幸と結婚をしてからは真面目にお勤めをしているようだ。細川とお幸の出会いは『草雲雀』にて描かれているぞ。女性との情けない失敗談を知りたければ『泣き男』『二度あることは』などの作品もおすすめだ。
何事もほどほどに
いつもは女性に対して情熱的に突き進む細川だが、本作ではそのベクトルが仕事に向けられたようだな。鬼平からの期待に応える為、いつもに増して探索に力を入れている訳だが、こうなると男性の弱い部分が浮き彫りになってしまうものだ。御多分に漏れず、仕事が上手く行かないストレスを妻にぶつけてしまう。悪いとは分かっていても、多くの男性はピンと来てしまうかもしれないな。
離縁を口走った細川に対してお幸は家を出て行方知れずとなるのだが、同じく盗賊の探索が成果を上げ始める。仕事が上手く行くにつれ、失った物の大きさに気づき始める細川。お幸は口封じのため盗賊に誘拐されてしまったのだろうか。ストーリーは急展開を迎えるのだった。
失って気づくもの
酔った細川に離縁を申しだされた女房のお幸は、鎌倉にある縁切寺へと向かっていたという。旦那との縁を切るため、つまり離婚をするために縁切寺に行こうと思案していた訳だな。この縁切寺は松岡山東慶寺という寺で、離縁を望む妻が2-3年の修行をする事によって離婚が可能となった実在の寺だ。離婚を望む妻は、裁縫の技術を磨いたり、お経を読むなどの修行をしたそうだ。
現在は縁切りの修行を行う事は出来ないが、過去の恋愛を断ち切る目的で訪れる人が多いようだな。JR北鎌倉駅からも徒歩圏内にあるスポットだ。旦那に辛く当たられた世の奥様、旦那への意趣返しで東慶寺参拝をしてみるなんてのも一興かもしれませんな。
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滝田 莞爾
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