簡単なあらすじ
SPコミックス第167巻収録。ベネズエラでは反米主義の国策として、反米映画の製作が行われていた。これに対しアメリカ政府は、マフィアを使った妨害工作を開始。監督・トーレスが謎の死を遂げ、英雄ボリバルII世役の主演俳優イグレシアも脅迫をうける。プロデューサーはゴルゴに敵討ちを依頼するが……。
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映画は世界を変えるスーパーマジックなのか
『ダブル・ミーニング』で、ハリウッド映画は政府のプロパガンダ政策の手先になっているという内情が描かれていたが、これはハリウッドで修行した外国人スタッフが、自国でその手法により制作する反米映画をアメリカが阻止する、という話である。
映画の影響力は確かに大きいとは思うものの、真っ暗な映画館では、完全にその世界に支配されるかもしれない。が、明るい部屋でテレビやインターネットを利用していると、途中で電話が鳴ったりご飯をこぼしたりと、日常が邪魔をしてリアル感が急速に薄れてしまうような気もするのだが、どうだろう。

映画産業に存在する恐るべき裏の顔
劇中紹介されるハリウッドの裏の顔「ハリウッド・マフィア」は本当に存在するのか興味津々である。興業成功・利益のためなら死人がでるのも厭わない、という噂のハリウッド映画界なら、あり得ないともいえない。
2015年、スターウォーズ新作公開直前、レイア姫を演じていた女優が、第一作制作時に、ハリソン・フォードと不倫していたと暴露したのだが、直後に飛行機内で心臓発作のため亡くなっている。
検視の結果は薬物とアルコールの大量摂取と公表されているが、これを読むと裏で何かが起きていたのではないかと疑いたくなってくる。
一体誰が犯人なのか、ミステリーの結末は
外部から完全に閉ざされた環境の中、主役のボリバル二世役イグレシアの周辺で次々に事故が起きる。スタッフのロペスを語り手に、アガサ・クリスティーのミステリー小説風に物語は進むのだが、誰もが怪しく思え、最後まで犯人がわからない。
そんな中ゴルゴは困難なミッションを遂行してさせる。頭を撃たれ即死した役者は演技ではなかったのだから、さぞかし臨場感あるシーンが撮れたことだろう。ゴルゴが頭を撃ち抜いた瞬間も映像として使われている訳だし、完成したベネズエラ映画大作の影の主役は、もちろんデューク・トウゴウである。

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野原 圭

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