この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第196巻収録。CIAを定年退職したマイケルは、妻とのヨーロッパ旅行に繰り出す。ツアーバスに乗り込んだマイケルは、車内でゴルゴと遭遇。ひょんなことからCIA勤務だということがバレて、ゴルゴからマークされるマイケル。はたしてゴルゴがツアーに参加した理由とは……?
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退職記念旅行でまさかのピンチ
とにかく楽しい一編である。CIA退職後に妻とヨーロッパ旅行に出かけたマイクがゴルゴに出会う。マイクはCIAといっても情報員ではなく、修繕や物品調達の管財係だからゴルゴとの接点はない。
しかし退職間際に同僚からたまたま写真を見せられ、その経歴も知ってしまったため、同じツアー客になっているゴルゴが恐ろしくて仕方なく、もくもくとあらぬ妄想を膨らませてしまう。ゴルゴの気持ちを代弁すると「この男は俺を見知っているようだが情報員ではなく危険はなさそうだ。情報員の女房はあんなお気楽な体型はしていない」だろう。
古城は呪いのオマケつきかもしれない
美しい描画により、古城ホテルの風情ある雰囲気が手に取るように伝わってくる。インドの銀行家が古城を購入している、というガイドの説明があり「城を別荘に持つなんてうらやましい限りだ」とツアー客たちがため息をつく場面があるが、古城を別荘に持つのはよく考えた方が良い。
暖炉の上の頭像が気味悪いので後ろ向きにしておいたのに、朝になったら元通り前を向いていた、とか、夜中に鎧同士がぶつかり合う金属音のような騒音がした、とか怪談のような話には事欠かない。城は地下牢や拷問部屋など血塗られた側面を持っていることがある。
マタイ受難曲ならぬマタイ避難曲
マイクの妄想が膨らむにつれ、仕事の邪魔にならないか心配で仕方ないゴルゴは釘を刺しに行く。バッハ好きのマイクは、たまたまマタイ受難曲を聞いていた。そこへゴルゴが現れるのだが、話の途中でじっと目を閉じる。まさか一緒に曲を聞いていたのか、と思ったらもちろん違っていた。
マタイ受難曲に救われたと思っているマイクはやはり管財係である。マイクとキャサリンは、次にシチリア旅行を計画しているが、今度はゴルゴと鉢合わせしないことを祈る。彼は同じ人間と2度会う偶然を信じないからだ。それでは、楽しい旅を Bon voiyage !!
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野原 圭
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