この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第189巻収録。ネットで国家機密を告発するWEBサイト「リアルリークス」。創設者のジョルダンは、情報下士官からゴルゴの機密ファイルを入手する。もし自分が殺された場合はゴルゴの情報がネット上に拡散するように準備をし、ゴルゴとの対決に挑むジョルダンだが……。
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リークする者とされる者
前半ではゴルゴの機密情報をインターネットにリークさせようとする人物との顛末が描かれている。ウィキリークスなどをモチーフにしたと思われる人物の描写が、時折みられる時事ネタになっており、当時の話題性がよくわかる。現実社会でのリーク者の行動原理は、国家権力が力を持ちすぎることを防ごうとするものである。
ジョルダンはそれとは少し違いリーク者がゴルゴに対して力を持とうとしていることが伺える。当然、ゴルゴがそんなことを許すはずもなく、彼の行動原理からすれば“有罪”となる。だが今回は少し違った展開になっているところに、作者の価値観が反映されているのかもしれない。
ネット社会の鬼子
話の中盤でCIAのレクスター部長が、若き日のジョルダンとの出会いについて回想している。彼はハイスクールの頃から優れたハッカーの能力を独学で身につけ、国防省のコンピューターに侵入している秀才だった。
現実の社会でも時折、サイバー攻撃のニュースを目にするが、このようなネット社会の鬼子が世の中には多数存在するだろう。その裏でじつは各国情報操作や、裏リークなどが存在しているのではないかと思わせてくれるのが、この話の面白いところである。
闇の世界で生き続けるゴルゴ
冒頭でも書いたが、今回の話はウィキリークスの創設者ジュリアン・アサジンの姿を描写している。婦女暴行による指名手配、イギリスでの逮捕、最後は生きているところ(現実ではエクドル大使館に身を寄せている)などは忠実に再現している。
こうした時事ネタの裏でゴルゴが活躍するのだが、時事ネタ自体は筆者にとっても世の中を知るのにすごく役に立っているし、たまに事件が起きると、裏ではゴルゴが動いているのではないかと想像してしまう。ゴルゴを読むたびに、裏社会で生きる男のロマンスを感じている。
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秋山 輝
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