この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第69巻収録。アンジェラは爆弾テロを起こして逃亡する際、ゴルゴに顔を見られてしまった縁で一夜を共にする。後日、アンジェラは逮捕され、爆弾テロのあった日は一日中ゴルゴと一緒にホテルにいたと主張する。アンジェラのアリバイ証言のため、ゴルゴが出廷するという非常にレアなエピソード。脚本:須摩鉄矢
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ゴルゴが証言台に立った理由とは?
関係を持った女に偽のアリバイを作ってやるために、ゴルゴが法廷の証言台に立つという異色の展開が見られる本話。「ゴルゴが女のアリバイなどを証言する訳がない」と作中人物も繰り返し言っており、読者としても同意見だが、なんとゴルゴは本当に法廷に姿を見せる。果たしてその理由は……というミステリー的な楽しみ方ができる一編だ。
勿論、ゴルゴが同情や気まぐれからこんな行動をするはずもなく、彼は彼で、女のアリバイを偽証することで同時に自分のアリバイも作れるという目論見があったのである。ゴルゴらしい大胆かつ巧みな計算だった。
女性と酒を酌み交わすゴルゴの珍しい姿
アンジェラに誘われるがまま一夜を共にし、例によって彼女を骨抜きにしてしまうゴルゴ。お喋りなアンジェラに対し、実はゴルゴは彼女の前で一言も言葉を発していないのだが、彼女が「もっとうまい酒を買ってきてあげる!」と言った際、さりげに自分の上着を取って財布を出そうとしているらしきゴルゴが面白い。
結局、アンジェラのお金で買ってきた酒を、その後もホテルの部屋で酌み交わしている二人。目的があってのこととはいえ、ゴルゴが事後の女性とこれほどゆったり時間を過ごしているのは珍しく、どんな会話があったのか気になるところだ。
瞬時の計算でアンジェラを利用するゴルゴ
先述の通りアンジェラを利用して自分の行動を隠蔽したゴルゴだが、「ゴルゴ・ナビ」でも言われているように、普通なら最初に銃を向けられた時点で彼女を殺していてもよかったのである。
そうすると、このビルの屋上に警察が踏み込んできて、その後の狙撃プランが台無しになる……などといったことを瞬時に考えたのか、咄嗟に彼女を利用することを考えつくゴルゴの判断力が凄まじい。最後はアンジェラに何も告げず街を去ってしまうゴルゴ。途方に暮れるアンジェラの表情が同情を誘うが、あのとき殺されていた方が幸せだったのかは定かではない。
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東郷 嘉博
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