この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第29巻収録。ある人物が愛人宅として使っている建物で、女が殺された。女中のおみよは犯人を目撃するが、火盗改方の捜査では「見ていない」と証言する。おみよは、なぜ嘘をついたのか?少女がもつ暗黒面を描いた異色作。
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殺しの現場を目撃されて
金で殺人を請け負う闇の稼業、女性殺しを依頼された青堀の小平治の登場から作品が始まる。その仕掛けの場を小女おみよに目撃された事から展開していくストーリーだ。闇の世界の元締めから、殺しの前金として半分、殺しの後金として半分を貰うのが闇のルールとなっている。
もちろん殺しの証拠を残す事はあってはならないのだ。こともあろうに殺しの現場を目撃された小平治としては、目撃者を消す以外に手はなかった。事件を担当した北町奉行所はさすがの杜撰な捜査。そこで鬼平は、本所の鬼銕として独自の調査に乗り出すのであった。
このドサンピンが!
本所の鬼銕に無謀ながらも立ち向かう小平治が叫んだ言葉が、さんぴんだ。色々なドラマなどでも聞く言葉かと思う。悪口である事は想像出来るのだが、果たしてどんな意味かと問われてもいまいち分からない言葉だな。実はこれ、江戸の市民が武士に対して浴びせた暴言なのだ。
当時は武士といっても高級取りもいれば薄給取りもいた訳で、とりわけ薄給取りなのにプライドが高い武士はバカにされたようだ。下級の武士は年俸が3両1分しかもらえなかったそうで、3=さん、1=ぴん。「この貧乏侍が!」と江戸市民。自らも貧しいのにタンカを切ってしまうあたりが江戸っ子らしいな。
サディスティックな性格
殺害された妾はおみよと小平治の証言によって、かなり独特な性癖を持っていた事が判明する。男女の行為を他人に見る、そして見せつける事によって興奮を得るとの事。実はこの行為、性的なサド行為とも言われているのだ。
日常生活においても虐待が伴っていたようだが、元来サディストとはマゾヒストの気持ちを汲み取れる人間の事を指すらしい。他人を思いやれない人は仕掛けられてしまうのだろうか。そうならない為にも、誰かを思いやって生きていきたいものだな。
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滝田 莞爾
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