この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第106巻収録。第89巻収録『BEST BANK』の続編。前話で命を落とした坂本の下で働いていた大蔵官僚の山崎。彼はアメリカが為替操作による円高で、日本に打撃を与えてくるという坂本の予言に従い、坂本の遺言を実行に移すべく動き出す……。大興奮の金融社会派エピソード。脚本:静夢
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BEST BANK2と銘打って
サブタイトルに“BEST BANK2”とあるように、1993年に公開された『BEST BANK』の続きを描いた回だ。『BEST BANK』は現役銀行員が持ち込んだエピソードだという。メガバンク誕生までの深淵を舞台にした隠れた名作だが、本作『オフサイド・トラップ』ではメガバンク設立後のアメリカとの金融界の駆け引き、そして各登場人物たちの顛末を描いている。

人の道か、血の道か
前エピソードで念願を叶えながらも老獪な古狸の罠に嵌められ、命を落とした坂本というキャラがいる。このエピソードでは彼の同志と部下が遺志を継ぎつつ、仇をも討つために策を弄するという流れだ。そのためにゴルゴへも依頼をする。
しかし、部下がゴルゴの狙撃を警察に通報してしまったがために、同志は裏切り者としてゴルゴから撃たれてしまう。坂本はバンカーとして志を持ちつつ、阿漕な手は使わない人間として書かれていた。部下はその姿を見ていたからこそ、イリーガルな手段を許せなかったのだろう。なりふり構わない姿も、人の道を外さない姿も、矛盾しているがどちらも人間の本質のように思う。
サービスアクションシーン?
作中ゴルゴがバスジャックを未然に防ぐシーンがある。チンピラ相手にゴルゴが淡々と立ち回るが、ここで実に4ページに渡ってアクションが描かれるのだ。チンピラの手元を狙ってジッポライターを投げつけた後の表情は、三下相手とは思えないほど油断が無く凛々しい。
もちろんゴルゴはどんな相手であれ、自身の邪魔になる存在には少しの手心も加えないのだが、それにしても単なるチンピラ相手にしては十分すぎるほどのページが咲かれているように思う。狙撃自体は『BEST BANK』に引き続き単純なものだから、読者サービスなのかもしれない。

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大科 友美

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