この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第103巻収録。リオではジュスチセイロスと呼ばれる組織が、路上で生活する子供達を無差別に殺害する事件が多発していた。子供たちのリーダー・カタリーナは、組織のアジトに潜入し、ジュスチセイロスの黒幕の居場所を割り出す。カトリーナはついに黒幕と対峙するが、そこは黒幕とゴルゴの会見場所だった……。脚本:竹内亨
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ストリートチルドレンを狙った犯罪
タイトルのジュスチセイロス(Justiceiros)はポルトガル語。ポルトガルはもちろん、ブラジル、アンゴラ、東ティモール、モザンビークなどで公用語となっている。
時折日本でもホームレスへの暴行事件がニュースとなるが、本作が発表された1993年当時のブラジルでは「ジュスチセイロス」を名乗る集団がストリートチルドレンを殺害して事件になっていた。「どこが正義?」と思うが、ストリートチルドレンを目障りに思う輩もいるとのこと。チルドレンのリーダー格である少女のカタリーナが復讐を目指すことで物語が佳境を迎えている。

カタリーナにしか見えない“黒い天使”
カタリーナが路上で生き延びてきた理由に、彼女にしか見えない“黒い天使”の存在がある。もっとも“黒い天使”と表現しているのは彼女だけで、何らかの危機が迫るとその方角がくすんで見えるように描かれている。
こうした異能を持った女性として思い出すのは『テレパス』のアンナだ。彼女は殺気を感知してゴルゴの狙撃を2度も失敗させた。アンナほどではないものの、カタリーナも似たような能力を持っていたのかもしれない。“持っていた”と書いたのはアンナがそうであったようにカタリーナも不幸な最期を迎えてしまったからだ。
ゴルゴに敵意を向けるな
能力を活かしたカタリーナはジュスチセイロスのスポンサーとなっている男の家に招かれ、復讐を半ば達成する。そのままハッピーエンドとならないのは、そこをゴルゴが訪れたからだ。
ゴルゴを呼んだ男はカタリーナを指さしつつ、「この女を撃ち殺してくれっ」「ギャラは倍払うっ」とまで言っている。しかし背を向けて去ろうとするゴルゴ。ゴルゴファンなら、「ゴルゴをそのまま帰せ!」と叫びたくなるのではないだろうか。しかしゴルゴに敵意を感じないままカタリーナは引き金を引いてしまう。読後感が悪いことこの上ないが、これもゴルゴの流儀だ。

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研 修治

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