この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第138巻収録。ロシアの核燃料コンビナートで、核燃料廃棄物の臨界事故が発生。コンビナート長官ツボレフは、事故現場を撮影した日本人記者を殺害し、事件の隠蔽を図る。だが、放射能汚染を証明する被爆した5円玉の存在が発覚。このコインをめぐり、ロシア原子力省内で権力抗争が勃発することになり……。
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世界でも珍しい穴あきコイン
電子マネーや仮想通貨などのキャッシュレス化が進んでいるが、コインやお札の収集家はどう考えているのだろうか。本作では日本の5円硬貨を貰って喜ぶロシア人の女の子が登場、穴の開いた5円硬貨にヒモを通して首からぶら下げているのだが、「穴が開いているコインなんて初めてだわ、珍しい」と言っている。
日本では5円とともに50円もあるが、確かに穴の開いた硬貨はデンマークのほか、世界でも数えるほどしかないそうだ。そんな5円玉がゴルゴのターゲットになるのだから、さいとう先生らスタッフのアイデアの豊かさに驚かされる。
世界各国を悩ませる核廃棄物
ゴルゴシリーズで『プルトニウム239』『2万5千年の荒野』などで原子力発電所や核廃棄物が扱われているように、現在の世界各国でも原子力発電所や核廃棄物の処理に頭を悩ませている国は多い。もちろん日本も例外ではない。本作では放射能に汚染された5円硬貨をゴルゴが破壊することで、結果的に放射能漏れの隠ぺいに加担したこととなる。
この辺りは依頼を受ければなんでも……とするゴルゴのルールに従ったまでだが、そんなゴルゴの態度にちょっと不満を感じるのは仕方のないところか。せいぜい特殊な狙撃を実行するシーンを見てうさを晴らすとしよう。
あのロシア大統領も登場
物語の最後にはロシアのセドフ原子力大臣と話し合う男が登場する。セドフ大臣すら敬語を使って話す男は、名前こそ書かれていないものの外見からもプーチン大統領に違いない。彼がチェルノブイリ事故を認めつつも、「日本の原子力事故や対策に関する情報公開は、ロシアにすら劣る……だったな」と皮肉っぽく語るシーンは実際にもありえそうだ。
ただ彼に、「ロシアには、もう鉄のカーテンは無い」と言わせたのはどうだったか。確かに国力や軍事力こそ一時の勢いこそないものの、まだまだ不透明さは日本とは比較にならないものがあると思うのだが。
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研 修治
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