この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第62巻収録。大物テロリスト、マームードの殺害をゴルゴに依頼したモサドだったが、なかなか依頼を遂行しないゴルゴに業を煮やす。理由を問いただしたモサドが聞いたのは、まさかの契約破棄だった。ゴルゴが契約を破棄した理由とは? ゴルゴが仕事をしないまま終わる異色の一編。
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タイトルの意味は「調べ直せ」
モサド(イスラエル諜報特務庁)からパレスチナゲリラであるマームードの暗殺を依頼されたゴルゴ。21世紀の現代でもきな臭いパレスチナながら、本作の掲載された1983年はテロが頻発していた時期だ。
しかし一発必中のゴルゴが2度もチャンスを見逃したことで、モサドが不審に思うことから話が展開していく。
タイトルの「GO UP」はゴルゴの伝言を聞いたモサドの部長が、「マームードの過去を調べ直せ……“遡行(ゴーアップ)”か!」と口にすることから来ているが、この後の展開でモサドを凌ぐゴルゴの情報収集力の凄さが分かる。
ゴルゴが狙撃しなかった理由
あえて結果を書くと、ターゲットは既に死んでいたことからゴルゴは狙撃しなかったに過ぎない。しかしモサドですら気づかなかった事実を敏感に嗅ぎとったゴルゴは見事の一言。
しかも写真とスコープ越しに覗いたターゲットに違和感を覚えたのだから、単に視力の良さだけではないだろう。
モサドの部長が、「パレスチナ・ゲリラの英雄がハーレムでぶざまに死んだとあっては格好がつかないからな」と、マームードが生きているように見せかけた理由を推測している。ゴルゴがそこまで見抜いていたかは分からないが、無駄な殺しを避けるのはゴルゴの信条通りだ。
契約不成立におけるゴルゴのルール
物語の最後にはゴルゴから返金があったことが語られている。しかも必要経費を差し引いて返金したところがゴルゴらしい。さらに部長は、「はじめて中途で降りた仕事になったわけだ」とも言っている。
117巻『情報遊戯』(1996年)でもゴルゴの狙撃前にターゲットが死亡したことでゴルゴは返金しているが、果たして今作(1983年)以前にゴルゴが途中で降りた仕事はなかったのだろうか。
例えば58巻『テレパス』(1982年)では、最初の狙撃に失敗したゴルゴが返金を申し出ている。他にもゴルゴの律義さが発揮された事件がありそうだ。
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研 修治
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