この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第6巻収録。MI6の諜報員・ヒューストンとケスラー。彼らは誰も顔を見たことがない謎のKGBスパイ“キューピッド”を追っていた。キューピッドが航海中のヨットからKGBと接触するという情報をつかんだ二人は、大型ヨット“ネルソン2世号”に潜入する。ミステリー色の強いエピソード。またゴルゴは最後の2ページにしか登場しない。脚本:K・元美津
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ゴルゴの出番は……!?
本作ではゴルゴの出番が非常に少ない。同様にゴルゴの出番が少ない作品としては『ラブはナイフ』や『仮面の標的』等があるがそれらと比べても群を抜いて少ないのだ。ではゴルゴ自身のみどころが本作にはないのか。
否、ゴルゴが登場しないことにより、読者はゴルゴがどこかに潜んでいるのか、何者か変装しているのではないかと注意深く観察しなければならない。実際、登場人物の中に目と眉のみ似ているキャラが登場したりもするのでタチが悪い。ゴルゴ不在というミステリー調の作風が、じつはゴルゴ自身の存在感を増しているのである。
本作の主人公、ラルフとディック
ゴルゴはほぼ出番なし。では誰が主人公なのか。それはMI6情報部員のラルフとディックである。ディックは本作のターゲットであるキューピッドによって相棒であるマイケルを殺されている。彼と一緒にいたら防げたのに、と復讐に燃える熱血漢だ。
一方のディックは冷静沈着、誰も見たことがないキューピッドは実在するのかと事実を根本から洗いなおそうとする。注目したい人物はもう一人いる。明らかに不振な動きをする男・ゴメスだ。顔の上半分だけに注目するとうっすらゴルゴの面影がある。もしかすると彼の正体は……。
船上という密室のミステリー
連続殺人事件の犯人を追うミステリー作品では、容疑者である多数の登場人物にそれぞれ職業や簡単な生い立ちが設定されている。そして誰が犯人なのかを予想しながら読み進めていくのが醍醐味だろう。本作でも普段なら名前すら無さそうなキャラクターにまで、しっかりと設定が記載されていて同様の楽しみ方が出来る。
序盤こそ敵のスパイを追う話であるが、船上という密室に入った瞬間、事態は急変。船上の人間が一人、また一人と殺されていく密室殺人事件の様相を呈するのだ。ただの連続殺人かと思いきや一筋縄ではいかない本作。一味違ったゴルゴを楽しみたい方にお勧めだ。
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小摩木 佑輔
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