この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第44巻収録。かつてソ連がエジプトに貸与した核兵器が、その後返却されることなくピラミッドの奥深くに隠されていたことが発覚した。この核兵器を永遠に封印したいと考えたアメリカのNSAは、奇想天外な作戦をゴルゴに依頼するのだが……。脚本:きむらはじめ
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ツタンカーメン王墓で有名な呪いの言葉
今も昔も歴史好きやオカルトマニアを捉えて放さない古代エジプトのミステリー。ツタンカーメンの王墓の入口に「王の眠りを妨げる者には死の翼が触れるべし」という盗掘者への警告が刻まれていたのは有名で、本作でもこの言葉は印象的に用いられている。
数世紀にわたって盗掘を生業としていた一族がいたのも本当だが、本作のラスル老人の「カーナボン卿のピラミッド発掘」という台詞は実はよくある誤解。ピラミッドが盛んに作られた時代とツタンカーメンの時代は千年以上も離れており、日本でいえば「織田信長の古墳」というような勘違いなのだ。
千年後に痕跡を残した?ゴルゴの奇術射撃
今回のゴルゴへの依頼は、ソ連製の核兵器が隠されたピラミッド内の密室で秘密裏に標的を葬るというもの。この奇術のような狙撃をゴルゴは見事な計算で成し遂げるが、「脳天に弾痕のある死体を見て、千年後の人たちは、どんな物語を考えるだろうか……」というラストシーンでの依頼人の言葉は趣深い。
先述のツタンカーメンをはじめ、古代エジプトのミイラの中には死因が不明のものも多く、暗殺説も後を絶たない。幾千年の昔にも、殺人の手段は違えどやはりゴルゴのようなプロフェッショナル達はいて、闇の仕事を請け負っていたのかもしれない……。
ゴルゴの報酬相場や思考言語も明らかに?
同巻収録の『モンゴルの鷹』に続いて、本話にも、ゴルゴの報酬相場が最低20万ドルという台詞がある。初期の『黒い熱風』では最低5万ドルとされていたが、約10年の連載を経て設定が時代に合わせて変化しているのが見て取れる。
また、本話でさらに興味深いのは、ゴルゴがピラミッドの構造を図面に書いて作戦を練る際、「玄室」などの文字を日本語で書き込んでいることだ。これをもって「ゴルゴの思考言語は日本語」とする説もあるが、万一第三者に覗き見されても困らないように、エジプトから遠い日本の言葉を敢えて使ったのだとも考えられる。
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東郷 嘉博
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