この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第179巻収録。ウラン濃縮に必要な高性能遠心分離機に関する情報を収集しはじめたスイス。CIAはロシアに頻繁に出入りする男が、心臓に特殊なペースペーカーを入れていることに注目。男はペースメーカーに仕組んだ通信機器で極秘データを運ぶ専門の運び屋だったのだ……。脚本:山内富仁
スポンサーリンク
スイスが核武装する可能性
永世中立国スイス。世界が東西に分かれていれば、それで通用したかもしれないが、より複雑な現在ではどうなるのか。ウィキペディアではスイスが核兵器の開発を放棄したのは1988年とある。
アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国に続いて、パキスタンも核兵器を保有し、イスラエル、北朝鮮、イランなどで核兵器の開発が噂されている。本作の発表は2008年。ゴルゴのターゲットとなるスイス高官ベン・クラハイムは、「“大きな波”に飲みこまれないよう、独自の戦略を持っていなければならない」と語っている。この答えが“核”なのだろうか。
ゴルゴを知らない国防総省とCIA職員
国防総省のウィルソンとCIAの友人は、ベンがペースメーカー機能を持たせた装置で核開発の情報を運んでいることを突き止める。そこでベンの暗殺と情報伝達を防止するため、心臓とペースメーカーを同時に狙撃する必要があると分析する。
「ゴルゴの出番だな」と思うだろう。しかしウィルソンは、「そんな狙撃手なんて居る訳ない」と言い、友人も黙り込んでしまう。『ナイトメア』『黄色い害虫』などでゴルゴを敵にも味方にも回しているCIA、国防総省も『禍なすもの』などで散々関わっている。2人はそんなゴルゴの噂すら知らなかったのだろうか。
ベテラン職人を転がすゴルゴ
結果的に仕事を請け負ったゴルゴ。「心臓とペースメーカーを、一度で狙撃してほしい」との依頼により特殊な弾丸が必要と考える。ここで登場するのがデイブ……ではなく、ドイツのドルトムントで店を構える老職人だ。
「珍しい客だ」と彼が話すところからして、何度か依頼を受けているらしい。ベテラン職人を巧みに扱うゴルゴは、「なんだってそんな難儀なモノを持ち込むんだよ!」などと嘆く老職人に弾丸の製造を引き受けさせている。しかし単にペースメーカーを破壊した後、殺しても十分だと思うのだが、同時の狙撃にこだわる理由が不明だ。
この作品が読める書籍はこちら
研 修治
最新記事 by 研 修治 (全て見る)
- ゴルゴ13:第644話『心を撃て!』のみどころ - 2024年11月28日
- ゴルゴ13:第643話『怪力戦士イヴァノバ』のみどころ - 2024年11月11日
- ゴルゴ13:第642話『女の平和』のみどころ - 2024年10月1日