鬼平ファンとして知られる里中哲彦さんは、著書「鬼平犯科帳の真髄」で鬼平が語らなかったものとして、ご自身の想像の産物と断ったうえでこう書かれています。
- イギリスのことわざに「幸せな生活を送ることが最高の復讐だ」というのがあるらしいが、おれはそうは思わない。おれはかならず本人に復讐する。かならず。
- 仇討ちをなくしたってほんとうか。日本人は狂ったのか。いますぐ仇討ちを復活させよ。
江戸時代、「仇討ち」は許可さえ下りれば公式に許されていた。この事実を僕は鬼平犯科帳を読んで初めて知りました。非常に驚いたのと同時に、妙に羨ましく思えたことを憶えています。
鬼平犯科帳の仇討ちエピソードを読んで爽快感を感じるのは、僕たちの心のなかにも里中さんが仰るような感情が、抑圧されたかたちで内包されているからでしょう。
この記事では「厳選仇討ちエピソード14選」と題して、珠玉の仇討ちエピソードを集めてみました。制約ばかりの現代にお疲れ気味のあなたへ。どうぞお楽しみください。
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この記事の目次
仇討ちエピソードその1「おかね新五郎」
トップバッターは「おかね新五郎」。平蔵は犯人逮捕の場に当事者を呼んで仇を討たせてあげるんですよね。この粋な振る舞いもみどころの一つ。
また、好きな方にはたまらない「大失態エピソード」の側面も持っている一編。若かりし頃の平蔵が大失態をしでかす場面も描かれています。
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仇討ちエピソードその2「討ち入り市兵衛」
盗賊の仇討ちに平蔵が助太刀するパターンの一編。だれも顔を見たことがない伝説上の大盗・蓮沼の市兵衛が登場するといった時点で興味深々。
息子同然だった子分を殺された蓮沼の市兵衛は、たった5人で30人を相手にする仇討ちを決行します。そのあっぱれな心意気に、平蔵も浪人に扮して助太刀する一編。
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仇討ちエピソードその3「かわうそ先生」
かわうそのような可愛いルックスとは裏腹に、無外流の達人である辻十内。平蔵とは旧知の仲で、剣術よりももっぱら”女”のほうで交流があった御仁です。
この十内が、父の仇を討つために江戸へやってきた原田兄弟の助太刀をするのですが、原田兄弟のために奮闘する姿がなんとも可愛い。
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仇討ちエピソードその4「おれの弟」
平蔵自身が仇討ちをする非常にレアな仇討ちエピソード。平蔵が弟のように可愛がっていた滝口丈助が騙し討ちに遭い殺されてしまう。
公儀に裁きを申し出るも却下された平蔵は、上司の意向に反して仇討ちを決行。ここが最大のみどころといえます。
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仇討ちエピソードその5「一本眉」
忠吾が居酒屋で仲良くなった男は「一本眉」と呼ばれる本格の大盗・清洲の甚五郎だったという笑えるお話。その一本眉が愛娘を殺されてしまいます。
本格の大盗・清洲の甚五郎の気骨に心洗われる一編。ラストに平蔵が見せる温情あるお裁きも見逃せません。
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仇討ちエピソードその6「怨恨」
第二十巻収録の「引き込み女」で、妹分のお元を殺されたおまさが仇討ちを決行する一編。「引き込み女」とセットで読める長編エピソードです。
原作と違い「引き込み女」からの続編として成立していますので、「引き込み女」を先に読んでおくことをオススメします。
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仇討ちエピソードその7「寒月六間堀」
老人・市口瀬兵衛が息子の仇討ちを二十年越しに決行するエピソード。平蔵と瀬兵衛の交流にほっこりする一編。
仇・山下藤四郎についている美男の若衆が、レアな脇役・逆でこの仙次郎の蹴りを喰らい気絶するシーンが妙に笑えます。
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仇討ちエピソードその8「女武道」
辰蔵が通う坪井道場に女中として勤めだしたお寿が、亡き夫の仇討ちをするエピソード。
女武道家・お寿がなかなかのフェロモンを放っているため、辰蔵と悪友の阿部弥太郎、それから今回の敵・浦上源蔵が三つ巴で群がっていく図式も鬼平犯科帳ならでは。
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仇討ちエピソードその9「秘伝書」
池波正太郎さんの力作長編「秘伝の声」を忠実に劇画化。劇画版も同じく第五十三巻収録の「後継ぎ」との二部作となっていますので、読みごたえも抜群。
剣術家としての矜持がテーマとなっていますので、剣術ファンには特にオススメできる一編です。
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仇討ちエピソードその10「女の道義」
劇画シリーズにおける烈女大賞(当サイト比)を獲得した猛女・りつが登場するガチ仇討ちエピソード。
とにかく圧巻の生き様をみせる猛女・りつ。同じく第三十九巻収録の「在中庵の茶入」との二部作となっていますので、併せてご覧頂きたい名作エピソードです。
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仇討ちエピソードその11「忘れ得ぬ女」
忠吾のベスト・エピソード(当サイト比)。忠吾が過去に愛した女性が、辻斬りに遭って命を落とすんですね。復讐を誓って犯人を捜索する忠吾の姿が実にいい。
犯人は藩の要人の嫡男だという壁もあって捜査は難航。しかし”ある品物”がきっかけで犯人を特定するんです。泣けるエピソードですよ。
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仇討ちエピソードその12「掏獏戻し」
伝説のカリスマ掏り師が、赤の他人の仇を討つ一風変わったエピソード。カリスマ掏り師・安市は一発屋で終わらせるにはもったいないキャラクター。
仇討ちの手口も相手を殺すのではなく、掏り師の超絶テクニックで復讐を遂げる異色の仇討ちエピソードです。
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仇討ちエピソードその13「女密偵女賊」
密偵・おまさの妹分・お糸。彼氏の駒太郎と小さな店を持つのが夢でしたが、駒太郎が斬殺されてしまったため、平蔵が仇討ちを決行します。
仇は剣術指南役だった剣豪・鎌鼬の七兵衛。七兵衛は劇画シリーズに登場する剣客のなかでも、パワーで勝負する異色のスタイル。平蔵との一騎討ちエピソードの側面もある一編。
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仇討ちエピソードその14「ねずみの糞」
最後はイチオシの仇討ちエピソード「ねずみの糞」です。人気のキャラ・又吉&おまゆ夫婦が再登場しますので、先に「市松小僧始末」と「喧嘩あんま」を呼んでおくと一層楽しめます。
仇である永山吉十郎は無眼流の達人。当然の如く平蔵との一騎討ちが用意されていますよ。
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斉藤 ルッチ
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