簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。とあるホテルで発生した窃盗事件を追う刑事・チコ。ホテルの屋上で一服するチコは、鳥の写真を撮影しようとしている女性・ローズと出逢い、意気投合する。そんな中、近隣で狙撃事件が発生し、近くにはゴルゴの姿が確認されたが…。犯人はゴルゴなのか? それとも……。
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老刑事ニコとの因縁
本作で中心になって動くのは、引退間近の老刑事チコ。若い頃はやり手の刑事ながら、ゴルゴを取り逃がしたことがきっかけで落伍者になったと考えている。薄くなった頭部を、「まだ俺に髪と刑事としてのやる気があった頃」と自虐ネタにするのは、身につまされる読者もいそうだ。
“刑事”を何かに置き換えて使っても面白そうだが、笑いをとれないと冷え込むこと間違いなし。そんなチコの前にゴルゴが現れたこと、さらに偶然知り合ったローズに励まされたことでチコは俄然やる気を出す。ゴルゴファンならチコに死亡フラグが立ったのを感じるほどだ。

ゴルゴが「鳥を見た」理由
先に“死亡フラグ”と書いたが、衆人環視、さらにニコが旧知のFBI職員にとがめられたことで、ゴルゴも「うっとうしいなあ」くらいに留めたようだ。それでもゴルゴが「鳥を見た」ことはニコに大きな示唆となった。
思えば『円卓の騎士団』のケンドリック、『TOUCH DOWN』のアダムスのように、ゴルゴを執拗に追いかけながらも生き残った刑事は少なくない。依頼達成に忠実なゴルゴ。仕事熱心な刑事には共感を覚えていそうだ。ただし『猟官・バニングス』のバニングスや『芹沢家殺人事件』の安井刑事のように、やりすぎると命を失ってしまう。
凄腕の女スナイパー
シリーズには『鬼畜の宴』のスパルタカスや『未来予測射撃』のジョン・スミスのように、ゴルゴに匹敵する射撃能力を持つキャラクターがまれに登場する。本作ではチコがゴルゴの仕事と勘違いするほど困難な狙撃を行ったスナイパーのローズが登場した。名前で分かるように女性だ。
かなりの距離があり、しかも強いビル風が吹く中の狙撃。ゴルゴの仕事と誤解するのも当然だ。ゴルゴが不意に見せたしぐさから、彼女の正体に気づいたチコは後を追っかけたが、果たしてローズを逮捕できただろうか。ぜひ逃げ延びてゴルゴとの対決を見たいのだが。

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単行本未収録作品です。2022年10月現在、ビッグコミック本誌でしか読めません(Kindle版あり。すぐに読めます)
ビッグコミック2022年6月10日号(『鳥を見た』収録)

研 修治

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