この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第89巻収録。ソ連で獄中生活を送るキューバの革命戦士・パブロ。彼はメジャーリーグの養成学校にいる息子の命が狙われているという情報をキャッチ。パブロは息子の将来を守るため、革命のために隠匿していた軍資金を使ってソ連側との取り引きに臨むのだった……。
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ドミニカ共和国の野球選手
中南米の野球強国と言えば、”キューバ”のイメージが強かったが、その周辺諸国でも野球熱は高い。
中南米諸国出身のメジャーリーガーはゴロゴロいるし、2006年から始まったWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でもドミニカやプエルトリコの戦績は常に上位をにぎわしている。
2013年の第3回大会決勝カードではドミニカVSプエルトリコであった(ドミニカの優勝)。今エピソードは1990年発表なので、21世紀に隆盛を誇る少し前の時代が舞台である。1990年、広島カープがドミニカに広島カープアカデミーを設立した年でもある。
もの悲しいキューバ革命の残滓
一見、舞台はドミニカの野球なのであるが、読み進めるとドミニカ……野球……に留まらない。本筋はキューバ革命の残滓を描いていることがわかる。
野球のシーンは牧歌的である一方、キューバ革命の残滓はもの悲しさが漂う。革命を題材にするとどうしても革命の持つ性質から、もの悲しさが漂ってしまう。
『すべて人民のもの』『東欧の激動・六日間革命』『モンゴルの鷹』なども同様である。”革命”と言ってもよいであろう沖縄の独立を目指す『沖縄シンドローム』も同じに列することができる。
プロスポーツを題材にしたエピソード
これは勝手な想像であるが、ゴルゴ読者にはスポーツ好きが多いのではないだろうか。プロスポーツに限っても様々なエピソードが登場するからだ。
今エピソード以外にも、アメフトの『タッチ・ダウン』、アイスホッケーの『氷上の砦』、アルペンスキーの『白いサーカス』、陸上競技の『獣の爪を折れ』、F1の『F1サーカス』、競馬の『血統の掟』などプロスポーツを題材にしたものは枚挙にいとまがない。
ただ、それらを題材にとっていてもスポーツシーンが少なかったり、エピソードの筋とあまり関係なかったりと肩透かしを喰らうこともある。だが、それはそれでゴルゴなのだ。
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片山 恵右
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